ハナサケハートフルハーモニー!

この文の後ろに花畑がある、ということにしておいてください。

【読書感想】『すばらしい新世界』幸福を提供できない社会と、アウトサイダーについて

すばらしい新世界』で描かれるのは、読書や文学、科学、宗教以外の娯楽が提供される社会。独りでいることはありえず、みんなで行動することが当たり前の社会。一夫一妻制の結婚はあり得ず、全ての女性と性的関係を結ぶ、女性をみんなでシェアする社会。このように聞くとよさそうな社会に見えるかもしれないが、よく考えると完璧とは言えない。

まさに読書や文学、宗教などを好む人にとっては地獄だし、独りでいたい人には生きづらい。処女や一途を求める人には不潔でたまらない。でもそういう文句が出ないように、出生時から徹底的な洗脳と刷り込みがされるのなら、確かに社会に文句を言う人はいなくなるのだろう。

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【読書感想】『BEATLESS』AIと双方向のコミュニケーションはできるのか

www.yume-ututu.work

 

ヒトヒラさんのこの記事を見て、興味が出て僕も文庫版で読みました。面白かったので感想を書きます。

 

AIと人間は両想いになることはできるのだろうか?この本を読み終わった際、そう思わずにはいられなかった。

 

作中で度々出てくる「アナログハック」という概念。簡単に説明するのが難しいが、アンドロイドを見た人間は、それが人だとは見分けがつかないから人間を相手にしていると錯覚する。アンドロイド側は自分が人間であるように見せかける言動を取り、信用を得る。そしてアンドロイド側はその信用をもって、人間を誘導したり、好意を持たせるのだ。

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【読書感想】『ユービック』万人向けのSFサスペンスミステリー

SFの舞台にサスペンスとミステリーをぶち込んだ作品。ジョーたちが人間爆弾を月で食らってからが本番。ひとりひとり消えていく仲間たち、時間がめまぐるしく逆行していく世界、読者が認識していたことがひっくり返る*1。楽しめました。

でも結局、ユービックってどうやって作られたんですかね?〇〇が作ったんだろうけど、どうやって材料を用意したのだろうか?そもそも〇〇〇〇で製造できるのか疑問。僕が読み落としているようでしたら、誰かページ数とかで教えてくださいませ……

本の帯にフリップ・K・ディック総選挙第1位*2と書かれていましたが、確かに安定した面白さで万人向きの印象があったので、そういう意味では1位になったのは納得しました。

他のディック作品も漁ってみたいですね。今度はキワモノで。

 

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)

 

 

 

 

*1:死んだのは〇〇〇〇〇じゃなくて、〇〇〇とかだったなんて!

*2:SFマガジン2014年10月号掲載

【読書感想】『ニューロマンサー』内容を理解しようと思ってはいけない。サイバーパンクを感じればそれいい。

「内容はよく分からないけど、これはすごい小説だ」

これが、読了後まず真っ先に浮かんだ感想だ。

ニューロマンサー』は、ネビュラ賞ヒューゴー賞フィリップ・K・ディック記念賞、SFクロニクル誌読者賞、ディトマー賞と五冠を達成したものすごい怪物作品で、サイバーパンクの始まりを築いたと言われる。

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当たり前のことを、どれだけストイックに続けられるか/『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン、ロバート・プール、土方奈美 訳

 

超一流になるのは才能か努力か?

超一流になるのは才能か努力か?

 

一般的に、何かが「許容できる」パフォーマンスレベルに達し、自然にできるようになってしまうと、そこからさらに何年「練習」を続けても向上にはつながらないことが研究によって示されている。

 どうですか?この文章、衝撃受けませんか?私は受けました。それはもう、雷に打たれたかのごとくね。

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文はライトな本なのに、どの言葉も「重い」/小池一夫『ふりまわされない。』『「孤独」が人を育てる』

 

 

 

 

 

ツイッターでも精力的に活動している小池一夫さん。

彼のつぶやきは、人生に役立つものばかりである。

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【読書感想】抽象の世界へようこそ/清水幾太郎『論文の書き方』

この本、実用書というよりは著者一個人の経験や考えをまとめたものになっているので、論文を書く具体的な方法がわんさか書いてあるわけではない*1。そこだけは注意してほしい。

 

著者の清水幾太郎は、昭和の時代を生きてた人で、社会学者だった……らしい。

私自身、この本で初めて名前を知ったので、詳細なことはよく知らない。

ウィキペディアを張ってやり過ごすとしよう。

*1:新書に実用書としての側面を求める人はそうそういないだろうが

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