【読書感想(前編)】結婚よりもカネ!自由!/Rootport『失敗すれば即終了!日本の若者がとるべき生存戦略』
※著者のブログ。「冗語」カテゴリーにて豊富な事例やデータを使い、世の中を斬っている記事が多い。
・ 少子化の原因
第1章では、なぜこれほどまで少子化が進んだのかを紐解くところから始まる。結論から言ってしまえば、所得が足りない。子を産み育てさせるには、まず年間所得500万円を獲得する必要があるという。そのためには、労働者が賃上げを要求し、女性の雇用拡大を推し進めることが解決策だと掲げる。
結婚にここまでカネが必要になったのはなぜか?それは、技術革新が進めば進むほど、子育てのコストも上昇するという「教育と技術の競争」が適用されるからだ。
今の若者は、確かにバブル時代の20代ほどカネをもっていないのだろう。賃金が低く、とても子育てなんかする余裕がないという状況にある。間違いなく、少子化の大きな原因の一つだ。
しかし、まだ他にも少子化に拍車をかけている原因はあると自分は睨んでいる。それは、結婚生活が幸せのカタチという考えの崩壊。いやさらに踏み込んで、結婚は幸せを生まないという考えが広がり始めているということも考えられるのではなかろうか。
個人主義の権化として育ってきたわれわれ20代にとって、独身でできることの幅の広さは非常に魅力的だ。誰にも咎められることなく、自分の好きなことに没頭できるのは独身でこそなせる業。趣味に、自己実現に突き進むことに心血を注ぐ人は本当に多い。
(※2016年 20~40代の恋愛と結婚(第9回 結婚・出産に関する調査より) | 調査研究・レポート | 明治安田生活福祉研究所より)
20代に注目してほしい。このグラフの項目で、
「自分は社交的なタイプだ」
「休日は家にいるより出かけるほうが好き」
この2つに注目すると分かりやすい。
全て10%以上の減少率だ。この3年間だけで、個人で楽しむことを信条とする人がここまで増えているということが分かる。
この話は実感としてもある。私はいわゆる「オタクサークル」出身なので、アニメにゲームに声優にと、例外なく全員打ち込んでいるものだけに向き合う人がほとんどだった。女性とお付き合いする余裕などないと感じさせるほどに、彼らはとても真剣に自分の好きなものと向き合っていたと思う。
もうこうなってしまっている以上、少子化の解決は当分先の話になるだろう。まず、賃金が目に見えて上がる時期がいつ来るのだという話である。株価は回復しようと、賃金が上がっているなんていう情報は聞かない。政府も補助金をちまちま支給するくらいなもので、抜本的な子育て支援制度の進行は中々見られない。
カネ、若者の結婚観、労働時間、これら3つの問題を解決しなければ、少子化は止まらないだろう。
この本、複数のテーマが論じられていてどれも非常に興味深いものだった。
なので、この記事は少子化の話だけにして、また次回別のテーマで投稿しようと思う。
(次回に続く↓)