ハナサケハートフルハーモニー!

この文の後ろに花畑がある、ということにしておいてください。

【アニメ感想】『舟を編む』/僕の中の大辞林の価値がうなぎのぼり

辞書の見方が大きく変わった。

 

辞書なんて、値段は高いしかさばるし重いし威圧感あるしで、なんか親しみが持てなかった本だった。中を見ても、用語の解説がズラリと並ぶだけ。こんなの何が面白いんだと思っていたし、今でもあまり面白いとは思えない。

ただ、この『舟を編む』は、辞書を作ることの気の遠さ、飽くなき言葉への執着を見せつけてくる。そんなの見せられたら、辞書のことをバカにはできないじゃないか。辞書には、関わった人ひとりひとりが何かしらの執念を込めている。その執念は混じりあい、固まることで分厚いページを作っているのだ。

試しに家にあった『大辞林 第3版』のあとがきを見ると、関わった人は30人以上いる。編者の松村明さんは、松本先生のように編集作業の途中で亡くなられたようだ。これはいけない。松本先生の生きざまと松村さんが僕の中で重なるのが分かった。こうなってしまったら、大辞林に惚れ込むしかない。大辞林は現在第4版まで出版されているが、第5版は出るのだろうか。ネットで用語検索することが今後ますます当たり前になってくるであろう未来では、紙の辞書の価値は相対的に下がるのは間違いない。でも、編集者の魂の用例採集、選定作業の結実は、やはり紙の辞書というかたちで見たい。見続けたい。

僕も『大辞林 第3版』を誰かに譲り、第4版を新品で買おうと思う。いつになるかは分からないけれど、必ず。

 

どうか、紙の辞書がこれからも末永く世に出版され続けますように……

 

茫洋

茫洋